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奥村徹弁護士の見解(06-6363-2151 hp@okumura-tanaka-law.com)

奥村徹(大阪弁護士会)の弁護士業務と研究活動(不正アクセス禁止法・児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 青少年健全育成条例、強制わいせつ罪、強姦罪)、児童福祉法、児童に対する性的虐待・性犯罪、著作権法、信用毀損、名誉毀損、わいせつ図画公然陳列、電子計算機損壊等業務妨害、その他サイバー犯罪、プロバイダ責任制限法などが中心です。)の一片を御紹介しています。専門分野は御覧の通りです。  福祉犯や児童に対する性犯罪の弁護経験は裁判所に係属した事件だけで150件を超えました。

「医師法上、罰金以上の刑に処せられた者には医師免許を与えないことがあると規定されています。性犯罪の加害者である学生が罰金以上の刑に処せられた後、たとえ再び別の大学の医学部に通って医師国家試験に合格しても、犯罪の悪質性からすると医師免許が与えられない可能性は高いと思います(古海健一弁護士)」ということはなく、実刑を受けても執行終了後10年経過すれば医師国家試験に合格すれば医籍登録できます。

医療 性犯罪

 医師免許に際しては倫理関係の欠格事由はなく、医師免許の前科関係の欠格事由は「罰金以上の刑に処せられた者」だけなので、刑事事件でも示談で不起訴になれば欠格にあたらないし、懲役や罰金の実刑になっても刑の消滅の後は欠格がないことになります。
 古海健一弁護士がいうように「罰金以上の刑に処せられた後、たとえ再び別の大学の医学部に通って医師国家試験に合格しても、犯罪の悪質性からすると医師免許が与えられない可能性は高い」という制度はありません。
 医学生が事件を起こすと退学になって単位が足りなくなるので国家試験受験ができないとか遅れるということになります。倫理観に欠ける者をスクリーニングするのは大学しかありません。
 大学受験に際しては前科照会できないし、執行猶予満了とか刑の消滅があれば前科はない扱いになります。
 記事にするなら、倫理観に問題があっても、医師法上問題無く医師になれる点を指摘すべきだと思います。
 

刑法
第34条の2(刑の消滅)
禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
2 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。

医師法
第二章 免許
第二条  医師になろうとする者は、医師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。
第三条  未成年者、成年被後見人又は被保佐人には、免許を与えない。
第四条  次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一  心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二  麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三  罰金以上の刑に処せられた者
四  前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者

厚生省健康政策局総務課編「医療法・医師法歯科医師法)解」1994.8
P418
三、「罰金以上の刑に処せられた者」とは、判決の言渡しがあったのち、法定の控訴期間文は上告期間を経過して判決が確定した者をいう。現に公判中の者文は控訴若しくは上告中の者は除外される。「罰金以上の刑」とは、死刑、懲役、禁鋼及び罰金を指す。旧法では、六年以上の懲役文は禁鋼以上の刑に処せられた者は絶対的欠格条件、六年未満の懲役文は禁鋼に処せられた者又は医事に関し罰金に処せられた者は相対的欠格条件としていたが、これを改めてすべて相対的欠格条件に入れ、罪状による自由裁量の余地を残すこととした(昭30.11.16医収第二四四五号、医務局回答)。
なお、執行猶予期間中の者は当然「刑に処せられた者」に含まれるが、刑に処せられることなく猶予期間を過ぎた者については、刑の言渡しの効力はなくなるから(刑法第二十七条)、第二号には該当しないものとされる。また、実際に刑の執行を受付文はその免除を得た者についても、一定年限(禁鋼以上の場合は十年、罰金以下の場合は五年)を、罰金以上の刑に処せられることなく経過した場合には刑の言渡しの効力がなくなるから(刑法第三十四条の二)、同様に第二号には該当しないものとされる。

 医師法の改正前には、前科があると旧医師法14条2号で国家試験自体が受験できない恐れがありましたが、現行法では、14条は削除されましたので、受験に支障はありません。