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奥村徹弁護士の見解(06-6363-2151 hp@okumura-tanaka-law.com)

奥村徹(大阪弁護士会)の弁護士業務と研究活動(不正アクセス禁止法・児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 青少年健全育成条例、強制わいせつ罪、強姦罪)、児童福祉法、児童に対する性的虐待・性犯罪、著作権法、信用毀損、名誉毀損、わいせつ図画公然陳列、電子計算機損壊等業務妨害、その他サイバー犯罪、プロバイダ責任制限法などが中心です。)の一片を御紹介しています。専門分野は御覧の通りです。  福祉犯や児童に対する性犯罪の弁護経験は裁判所に係属した事件だけで150件を超えました。

女性の足をなめる行為をわいせつ行為(刑法176条)とした事例(京都地裁H29.2.10)

性犯罪

 わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。(最判昭26・5・10刑集5-6-1026)という定義を前提とすると、女性の足をなめる行為は、一般人基準で「いたずらに性欲を興奮または刺激させ」と言えないので、客観的わいせつ行為ではありません。
 特殊な性癖の場合、いくら犯人の性的意図が強固であっても、客観的わいせつに該当しない限り、強制わいせつ罪は成立しません。
児童のパンツを撮影した行為について東京高裁H22.3.1は「わいせつ行為に当たるかどうかは,社会通念に照らして客観的に判断されるべきものであって,社会通念上わいせつ行為に当たらないものが,被告人の特別の内心の意図によってわいせつ行為となることはないというべきであり,また,女児の下着の撮影に引き続いて下着内に手を入れて陰部をなでるわいせつ行為に及んだからといって,本来わいせつ行為に当たらない下着の撮影行為までがわいせつ行為に当たることになるものでもない。」と判示しています。
 弁護人はそういう点を指摘するために存在する。

東京高裁平成22年3月1日
 本件控訴の趣意は,弁護人奥村徹作成の控訴趣意書及び控訴趣意補充書各記載のとおりであるから,これらを引用する。
 第2 法令適用の誤りの主張について
 論旨は,要するに,原判決は,原判示第1の女児の陰部及び同第2の女児の下着をそれぞれカメラ付き携帯電話機で撮影した行為(以下「本件各撮影行為」ということがある。)がいずれも刑法176条の「わいせつな行為」(以下,単に「わいせつ行為」ということがある。)に当たると判示しているが,?これらの行為は,被害者との身体的接触がないからわいせつ行為には当たらず,?仮に,従来の議論ではこれらの撮影行為がわいせつ行為に当たるとしても,平成16年に児童買春等処罰法により児童ポルノ製造罪が設けられた以上は,上記撮影行為は同罪で評価されるべきであって,強制わいせつ罪に当たるとすることは許されないから,原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の適用の誤りがあるというのである。
 しかしながら,?については,刑法176条の「わいせつな行為」とは,いたずらに性欲を興奮又は刺激させ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいい,被害者との直接的な身体の接触を必要とするものではないと解するのが担当である。また,?については,児童ポルノ製造罪と強制わいせつ罪とは保護法益や処罰対象の範囲が異なっており,後者についてより重い法定刑が定められていることに照らしても,所論は失当である。さらに,所論は,公然わいせつ罪に当たる行為及びいわゆる迷惑防止条例上の盗撮行為と強制わいせつ罪に当たる行為とを区別する必要があるともいうが,同様の理由により失当である。
 そこで,さらに,本件各撮影行為が刑法176条の「わいせつな行為」に該当するかどうかについて検討する。
1 原判示第1の女児の陰部の撮影行為について
 性的興味を持って被害女性の陰部を撮影する行為がわいせつ行為に当たることは,前述したところから明らかであり,このことは,被害女性が原判示第1のような小学校低学年の女児であっても同様である。
 したがって,原判示第1の女児の陰部を撮影した行為がわいせつ行為に当たるとした原判決の判断は正当であって,原判示第1についての論旨には理由がない。
2 原判示第2の女児の下着の撮影行為について
 所論指摘のとおり,原判決が,原判示第2の女児(当時8歳。以下,単に「第2の女児」という。)のスカートを手でまくり上げた上で,その下着(パンツを指す。以下同じ。)をカメラ付き携帯電話機で撮影した被告人の行為(以下「本件撮影行為」という。)がわいせつ行為に当たると判断していることは明らかである。
 しかしながら,第2の女児のような小学校低学年の女児の下着は,スカート等の形状や女児の動作によって,日常の生活の中で他者の目に触れることがしばしばあり得るものであって,学校,公園その他の場所で,この年代の女児の下着を目にしたとしても,社会一般には,いたずらに性欲を興奮,刺激させ,性的羞恥心を害して性的道義観念に反するとはとらえられていないと思われる。無論,このような下着を単に目にする行為と,記録化する目的でこれを撮影する行為とでは,その意昧合いが異なり得るが,上記のようなこの年代の女児の下着を目にすることに対する社会通念のほか,一定のわいせつ性が認められ得る成人女性のスカート内の下着を撮影する行為(盗撮行為)であっても,強制わいせつ罪より刑の軽い迷惑防止条例違反として検挙,処罰されているのが通例であることにもかんがみると,この年代の女児の下着を撮影する行為は,通常,刑法176条の「わいせつな行為」には当たらないと解するのが相当である。そして,本件についてみても,第2の女児が犯行当時着用していたスカートは丈が短く,公園等で遊んだりしている際に,他者に下着が見えることもあり得ることが容易に想像される形状のものであって,本件撮影行為も,同女児のスカートをまくり上げて同女児が着用している下着をそのまま1回撮影しただけで,特に執ようであるなど別異の評価が問題となり得るような特別の態様のものではないから,本件撮影行為は,わいせつ行為には当たらないというべきである。
 なお,検察官は,当審公判において,女児の下着の撮影行為そのものを取り出してみると,それがわいせつ行為といえるか疑問がないではないが,被告人の内心の意図と,その余のわいせつ行為と一連のものとして行われたものであることにかんがみると,本件における下着の撮影行為及び下着内に手を入れて陰部を触る行為が全体として強制わいせつ罪の実行行為に該当すると主張するが,わいせつ行為に当たるかどうかは,社会通念に照らして客観的に判断されるべきものであって,社会通念上わいせつ行為に当たらないものが,被告人の特別の内心の意図によってわいせつ行為となることはないというべきであり,また,女児の下着の撮影に引き続いて下着内に手を入れて陰部をなでるわいせつ行為に及んだからといって,本来わいせつ行為に当たらない下着の撮影行為までがわいせつ行為に当たることになるものでもない。検察官の上記主張は採用できない。
 以上のとおり,原判決は,原判示第2につき,第2の女児の下着を撮影する行為がわいせつ行為に当たるとした点で,刑法176条の解釈適用を誤ったものといわざるを得ず,これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。
 以上によれば,上記の所論??とは趣旨が異なるものの,論旨はこの限度で理由があることとなる。
第3 破棄自判
 よって,その余の論旨に対する判断を省略し,刑事訴訟法397条1項,380条により原判決を破棄し,同法400条ただし書を適用して被告事件につき更に判決する。
(原判決の(罪となるべき事実)第2に換えて当裁判所が新たに認定した事実)
 原判示第2の「同人のスカートを手でまくり上げて,その下着を前記第1のカメラ付き携帯電話機で撮影した上,」とある部分を削除するほかは,原判示第2のとおりである。

http://www.news24.jp/articles/2017/02/10/07353800.html
 女性に車の修理を依頼し、運転席に乗せて長時間足をなめ続けた男に対し、京都地裁は、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。
 強制わいせつなどの罪に問われていたのは、被告(56)。判決によると被告は去年7月、京都市伏見区の駐車場で20代の女性に、「車のブレーキ修理を手伝ってほしい」などと声をかけ、運転席に座った女性の足元に潜り込み、約35分間にわたって足の裏をかんだりなめたりするなどしたほか、去年9月にも、同様の手口で30代の女性の足の裏をなめるなどした。
 10日の判決で京都地裁は、「犯行態様は特殊であり、被害者の羞恥心や不快感は大きい。数十分間も続けた点は執拗(しつよう)だが、事実を認め、反省の態度を示している」などとして、懲役2年・執行猶予4年の有罪判決を言い渡した

http://www.sankei.com/west/news/170211/wst1702110025-n1.html
車の修理の手伝い名目で運転席に座らせた女性の足をなめたとして、強制わいせつ罪などに問われた元トラック運転手の男(56)の判決公判が10日、京都地裁で開かれた。渡辺美紀子裁判官は「犯行態様は特殊でわいせつ性が高いとはいえないものの、被害者らの羞恥心や不快感は大きく、数十分間にわたり犯行を継続した点は執拗(しつよう)」として懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。

 判決によると、男は昨年7、9月、京都市伏見区内の駐車場で、通行中の20代と30代の女性に、それぞれ車のブレーキ修理を手伝ってほしいなどと嘘をいって運転席に座らせ、約20〜35分間にわたり、足元にもぐり込んで足を強く押さえた上、足裏を歯でかんだりなめたりするなど、わいせつな行為をした。